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— 投資 / お金 · 2026.07.02 · 9min

個人向け国債は必要? ── 「絶対いる」ではなく 守りの選択肢の一つ

個人向け国債って必要? 結論は「絶対いるもの」ではない。年齢などでリスク許容度が下がってきた人が、リスク分散のために選べる手段の一つ。金利上昇で利率も上がってきた(2026年6月募集分で変動10年 年1.74%)いま、普通預金との違い・中途換金の1年ルール・誰の出番かを整理する。

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個人向け国債は必要? ── 「絶対いる」ではなく 守りの選択肢の一つ

投資を始めたばかりの頃、お金の無料相談で「国債も株も、両方持っておいたほうがいい」と言われたことがある。株が怖くて、できるだけ減らさない方へ流れがちだった私には、“元本割れしない国債”はやさしく聞こえた。両方バランスよく持つのが正しい形なんだ、と半分そう思って、少し調べてみた。

でも結局、私は個人向け国債を買わなかった。当時の私のお金は、普通預金に置いておけばそれで足りてしまったからだ。

その経験があるから、いまでもよく思う。個人向け国債って、そもそも「必要」なんだろうか?

先に結論を言っておく。個人向け国債は、誰もが絶対に持つべきもの、ではない。ポートフォリオの必需品ではなく、年齢などでリスク許容度が下がってきた人が、リスク分散のために選べる「手段の一つ」だ。そして最近は金利が上がって、その選択肢の魅力が少しだけ増している。ただ、ニュースに飛びつくようなものでもない。順番に見ていく。

先に結論 ── 必需品ではなく「手段の一つ」

「国債も株も両方持て」と言われると、両方が”必須アイテム”みたいに聞こえる。でも、そんなルールはない。株や投資信託でお金を増やしたい時期の人にとって、個人向け国債の出番は正直あまりない。

じゃあ誰の出番かというと、「守りに寄せたい人」だ。値動きの大きい株の割合を少し落として、増えなくてもいいから減らしたくないお金の置き場所がほしい ── そう感じ始めた人にとって、元本割れしない国債は候補のひとつになる。

ここで一点だけ、大事な注意を。「年齢が上がったら、機械的に国債を増やすべき」という意味ではない。年齢と配分の関係は、専門家の間でも「そう単純じゃない」と議論になっている話だ。

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大事なのは年齢そのものより、自分のリスク許容度が実際に下がった(下げたい)と判断したかどうか。そのときに初めて、「守りの受け皿をどこに置くか」という問いが出てくる。個人向け国債は、その受け皿の候補の一つ、という位置づけだ。

そもそも個人向け国債って何?

ざっくり言うと、国にお金を貸して、利子をもらうしくみだ。満期が来れば、貸した額(額面)がそのまま戻ってくる。発行しているのが日本国なので、途中で価格が上下しても、満期まで持てば元本割れしない ── ここが銀行預金と並ぶ「安全な置き場所」として扱われる理由だ。1万円から買える。

種類は3つある。

種類利率の決まり方向く場面
変動10年半年ごとに見直し(金利が上がれば利率も上がる)今後の金利上昇に付いていきたい
固定5年発行時の利率が満期まで固定いまの利率を5年ぶん確定したい
固定3年発行時の利率が満期まで固定もう少し短く固定したい

どれも最低保証は年0.05%。市場金利がどれだけ下がっても、これを下回らない下限がある。

下の図は、いまの3種類の適用利率(税引前)を並べたものだ。同じ「国債」でも、種類で少し差がつく。

図:個人向け国債3種類の適用利率(2026年6月募集分・税引前・年率)を並べた横棒グラフ。固定5年が年1.86%でいちばん高く、変動10年が年1.74%、固定3年が年1.51%。いちばん下に最低保証利率0.05%の水準を参考線として示す。
図:個人向け国債3種類の適用利率(2026年6月募集分・税引前)。適用利率は毎月更新される

利率は毎月見直されるので、実際に検討するときは財務省「個人向け国債・現在募集中」で最新の数字を確認してほしい(この記事の数字は2026年6月募集分)。債券や国債そのものの基礎は、別記事でもう少しやさしく扱っている。

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金利が上がって 利率も上がってきた

ここが、いま個人向け国債が少し話題になっている理由だ。

数年前までの日本は、金利がほぼゼロの時代が長く続いた。個人向け国債の利率も、最低保証の年0.05%に張り付いていた時期があった。正直、当時は「元本は守れるけど、ほとんど増えない置き場所」でしかなかった。

それが、日本銀行の金融政策の転換で市場金利が上がり、個人向け国債の利率も一緒に上がってきた。直近(2026年6月募集分)では、変動10年で年1.74%。かつての0.05%と比べると、ずいぶん様変わりしている。

図:個人向け国債(変動10年)の適用利率の変化イメージ。左に「ゼロ金利時代」として最低保証の年0.05%、右に「直近(2026年6月募集分)」として年1.74%の棒を並べ、利率が大きく上がってきたことを対比で示す棒グラフ。
図:変動10年の適用利率の対比(ゼロ金利時代の最低保証0.05% ↔ 2026年6月募集分1.74%)

ここで、二つの受け止め方ができる。ひとつは「利率アップ! いま買わなきゃ」という浮き足立った見出し。この乗り方はおすすめしない。税金(利子には約20%かかる)を引いた後で見ればもう少し控えめだし、後で触れる流動性の制約もある。数字だけを切り取って飛びつくと、置き場所として自分に合うかの検討が飛んでしまう。

もうひとつ、冷静な受け止め方。「守りの置き場所」としての相対的な魅力は、数年前より確かに増した。ずっと0.05%だった頃は「わざわざ国債にする意味あるかな」だったのが、いまは一度検討してみる価値のある水準にはなっている。ニュースは考えるきっかけ(枕)にすぎなくて、買うかどうかは自分の事情で決める ── その距離の取り方がちょうどいい。

「置き場所」としては 普通預金と地続き

守りのお金の置き場所として見ると、個人向け国債は普通預金・定期預金と並ぶ選択肢の一つだ。実際、使うまでの時間が短いお金(〜5年)は「貯金・個人向け国債」あたりが基本、という整理もある。

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3つを、置き場所としての性格で並べるとこうなる。

置き場所元本いつ引き出せる?金利の傾向
普通預金減らないいつでも低め(時期で変動)
定期預金減らない満期まで基本すえ置き普通預金より少し上のことが多い
個人向け国債満期まで持てば減らない1年間は換金できない上の2つより高いことが多い

金利だけ見ると国債が有利に見える。でも、ここに意外と知られていない引っかかりがある。

個人向け国債は、買ってから1年間は、途中で解約(中途換金)できない。1年を過ぎれば換金できるけれど、そのときは「直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685」がペナルティとして差し引かれる(中途換金調整額と呼ばれる。税制などで変わりうるので換金時は確認を)。つまり、「いつでも下ろせる現金」とは性格が違う

だから、すぐ使うかもしれないお金や、いざというときの生活防衛資金には向かない。そこは現金・普通預金の役割だ。

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こう並べてみると分かる。多くの人にとっては、普通預金でじゅうぶん足りる。少額で、いつ使うか分からなくて、利回りにそこまでこだわらないなら、無理に国債にする理由は薄い。かつての私が普通預金に落ち着いたのも、たぶんこれが理由だった。

じゃあ 誰が検討する価値がある?

整理すると、こんな線引きになる。

  • 出番がある人:当面(1年超)は使う予定のない、ある程度まとまったお金があって、株の値動きは抑えたいけれど普通預金の金利では物足りない ── そう感じる、守りに寄せたい人
  • 出番が薄い人:これから積極的に増やしたい人(株・投資信託の役割)/ すぐ使うかもしれないお金(普通預金)/ いざというときの備え(現金・生活防衛資金)

種類をどれにするかについては、「金利が上がっていく局面では、半年ごとに利率が見直される変動10年が無難」とよく言われる。金利が上がれば利率も付いてくるので、取り残されにくいからだ。一方で「いまの高めの利率を固定したいなら固定型」という見方もある。

ただ、これはあくまで一般的な考え方の紹介であって、「あなたはこれを買うべき」という助言ではない。どれが合うかは、そのお金をいつ使うか・金利がこの先どう動くと思うかで変わる。ここは自分の事情に引きつけて考えるところだ。

まとめ ── 必須じゃない でも選択肢は増えた

長くなったので整理しよう。

  • 個人向け国債は ポートフォリオの必需品ではない。株と両方持て、というルールはない
  • 出番があるのは 守りに寄せたい人(リスク許容度が下がってきた人)。年齢で機械的に増やす話ではない
  • 金利上昇で利率は上がってきた(2026年6月募集分で変動10年 年1.74%)。ただしニュースに飛びつくものではない
  • 置き場所としては 普通預金と地続き。1年は換金できない制約があり、すぐ使うお金には向かない。多くの人は普通預金で足りる

「国債は必要か?」への私なりの答えは、「絶対いるものではないけれど、守りに寄せたい人にとっては、前より検討する価値のある選択肢の一つになった」だ。買った・買わないの正解はなくて、自分のお金をいつ使うか、どれだけリスクを抑えたいか ── そこから逆に決まってくる(※この記事は個人向け国債の位置づけを整理したもので、特定の商品や配分を勧めるものではないよ。適用利率は毎月変わるので、検討時は財務省の最新情報を確認してね)。

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